働く女性たち 「祖母のエール」

05/16/2019 0 投稿者: admin

女性が働く事は、当たり前のような世の中にはなりつつありますが、時代とともに世の中の風潮は、大きな変貌を遂げています。

少し前までは、頻繁に聞いていた用語に「男尊女卑」という言葉があります。これは世代なのだと思いますが、めっきり私自身の周囲では聞く事のない用語となりつつあります。

私自身が、学生の時分、アジア系の海外からの留学生などの母国には、こういった風習が残っているのは辺り前で、食卓を家族で囲む時に、母親だけは台所の隅で余りものを食べたりするので、自宅で同じ食卓を囲むことはないのだという話しを日常生活の一面として聞いた事がありました。男尊女卑という風習は、過去の悪しき風潮として風化したイメージを勝手に思い描いていたので、遠い外国の話しだとしても、現代においてそのような風習がある事に、非常に驚いた経験として記憶に残っています。

祖父や祖母、そのまた以前の曽祖父や曽祖母の時代には、女性は家庭の中で家事や育児をする事が当たり前のように、生活を送っていたのだという事は幼いながらに聞いていました。ですが、実際の私自身の祖母や曽祖母は、働く事が大好きで、家事もそれなりにこなしますが、男勝りに社会進出していた姿をみて育ちました。曽祖母は、「網元」の娘として、漁師などと対等に仕事をこなしていたと伝え聞いています。「網元」というのは、漁師や漁船などを管理し、手広く漁業を営む雇用主の事を当時、そう呼んだそうです。

祖母においては、結婚前には事務員として働き、結婚した後、離婚を経験しながらも、シングルマザーとして、子育てと自身の生活の為、働きながら家事を両立し、晩年には、自分の趣味の長唄と三味線のなとりを得るまでになった姿を幼少期にみて育ちました。その間に、祖母は、何度となく転職を経験しています。

女性は、出産と子育てが生涯において転機となるので、同じ職業を継続することには、不利だと考えられていますが、祖母は離婚もし、幼子を抱え、急な生活環境の変化を迎えても、思いきった転職で、全てを乗り切ったと聞きました。男尊女卑の観念は、未だに私たちの心根の奥深いところで、一般的に女性の社会進出を阻止しているかもしれません。ですが、女性には社会でキャリアを積み自立して渡り歩く能力がある事は確かなはずです。

自身の眠っている才能や能力を活かし、自立した生き方をみつめなおす事で、女性は困難な運命をも切り開く能力があるのです。現代において、女性が働く事が当たり前の世の中になりつつはありますが、その悩みや、トラブルは、長い歴史が背負ってきたものの残像を見ているのかもしれません。女性が社会に一歩出れば、風当たりの強い組織体制に出会う事はしばしばだと思います。世の中の風潮がどうであろうとも、強い女性は存在します。

認知症を患った祖母と、先週、平日の銀座の街中を散歩した時の事です。銀座の街中を歩く働く女性の姿を見る度に、頑張ってねとエールを送る祖母の声が、どのくらいOLさんに響いているのかなぁとしみじみ考えさせられました。